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寄席の風景 [風景]

江戸の情景にはどことなく憧れる。
先日スゥ。さんの紹介で『長屋寄席』なるものを見に行った。
落語は、ほとんど聞いたことがなかったし、寄席なるものは初めてだった。

小じんまりしたホール。年配の人ばかりでなく、若い感じの人も多い。
意外とシックでフォーマルなお洒落な雰囲気だ。
舞台には、金屏風が置かれていた。
開演。
お囃子に乗って、番組の紙に書かれていない、若い落語家が、一人現れる。
座布団を整えて座る。若くて甘いマスクの若者だ。
少し堅いが、達者な語りで、愚者と学者の会話を演じる。
すがすがしい、演目だった。僕が初めて聞いた生の落語である。
この若者のことは、さぞかし記憶に残ることだろう。

三遊亭ぬう生。はすに構えた所がある。負けん気の強い毒があるキャラだ。
それは、それで心地よい刺激であり、ちょっと気になる感じの落語家だった。
太鼓持ちを体一杯で演じる。
江戸時代のお茶屋の風景が目に浮かぶ。
僕は、北野武映画『座頭市』で太鼓持ちなる仕事を知った。
太鼓持ち、というのは、旦那衆をヨイショして、
酒の席を楽しくさせる仕事らしい。
今では太鼓持ちは絶滅危惧種となっているそうだ。
そういえば、テレビで、こういう、司会者や大物芸能人をヨイショする
タレントたちを見かける。
彼らは、ある意味、日本文化における伝統的な職業『太鼓持ち』
の後継者なのかも知れない、と思った。

柳家小菊。
三味線を手に、演じる艶っぽい粋曲。
吉原に、すすっと誘い込まれていく感じだ。
演じられた小粋な唄の数々なかで、
しかしながら、僕が一番惹かれた唄は、『ぶんぶく茶釜』だったりする。
それは、幼き頃に母に繰り返し読んでもらった絵本が『ぶんぶく茶釜』だったから。
気持ちよく唄を聞いていたら、見世物小屋の風景が、ぱっと、目の前に浮かんできた。
金屏風の前の空中には、縄が一本ひかれ、傘をさして、
踊りながら、ぶんぶく茶釜が渡って行く姿が、目の前に現われる。
寄席には、こうした幻覚作用があるようだ。

柳亭一馬。僕が前に聞いたことのある数少ない古典の演目だった。
葬式をどう出してくれるかという、ケチな親父の質問に、
3人の子供たちが、馬鹿な答えを繰り広げる。
圧巻なのは、次男だ。粋な祭りのような葬式を出してやると語りだす。
神輿がでて、祭囃子。お祭りマンボで踊りだし、花火があがる。
粋で華やかな江戸っ子の祭りが目の前に繰り広げられているような気分になる。
お葬式の話なのに、すっかり、気分が高揚する。

中入り後、
三遊亭円丈が、もそっと舞台に現われる。
正直、やばいと思う。
元気がなさそうだ。かなりの年の様だ。
大丈夫なのだろうか。この人こそお迎えがやってきそうだ、と思った。

しかし、それは、計算された演出だったと気づく。
喋り出すうちに、どんどん元気になっていく。
最後には、舞台の上で跳ねまわる。
信じられないものを見た感じだ。
落語に慣れていない僕は、すっかり、喰われてしまったので、
多くは語れない。

しかし演目『グリコ少年』では、昭和30年代の少しセピアがかった風景が、
ある部分では、映画Alwaysを見た時よりリアルに、空気として肌身に感じられた。
それは、確かな落語家の話芸であり、
噺家と客席が、ともに呼吸することにより生まれる景色なのだろう。

全体を通じて、これから この地に、寄席を立ち上げてやるぞ、
というような気概も、受け止めることができた。


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おきざりスゥ。

>全体を通じて、これから この地に、寄席を立ち上げてやるぞ、
というような気概も、受け止めることができた

実際の寄席というのは1年365日休みなく興行している常打ち小屋を指します。
大抵1~2人の噺家を招いて蕎麦屋さんや寿司屋さんで開催されるものは単に落語会と云い今回の様な形は一般にホール落語と呼ばれます。
でも敢えて<長屋寄席>と命名したところにmironサンの受け止められた気概といったものが感じられます。
粋曲の小菊師匠も招いて、それこそ本当の寄席でもないくらい尺をとってタップリ歌と三味線を聴かせるあたりにも並みの落語会じゃないぞ、という意志の現れでしょう。

mironサンが楽しんで下すって好かった。

ようやくスゥ。も当日の記事をUPしました。
TBさせて頂きましたのでドウゾ読みにいらして下さい。
by おきざりスゥ。 (2007-12-03 03:23) 

miron

☆スゥさん、落語ご指南ありがとうございます。
寄席は、そういうものなのですね。
本当にいいものを見させてもらいました。

演者だけではなく、文化は、企画する側や
見る側も育てていくものだと思います。
そういった意味で、スポンサー企業の方や、
スゥさんのように、その楽しさを紹介される人は、
有難い存在だと思います。

僕も、今度ありましたら、人を誘って行こうと思います。
スゥさんの記事は、さすがです。
そちらにコメント書きますね。
by miron (2007-12-03 20:30) 

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