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『凍』について [本]

沢木耕太郎さんの『凍』(とう)をとうとう読みました。
登山家の山野井夫妻のギャチュンカン登頂の死闘を描いた作品です。
もの凄い内容なんだけど、後味爽やかで、いいものを読んだなぁという余韻に浸っています。
沢木さんの登場のしかたも、さりげなく、かつユーモラスでいい感じです。

沢木さんは『凍』の後記で、本のタイトルについて、次のように書いている。
 ひとたび「凍」と心に決めると、もう二度と揺るがなくなった。
 それには、「凍」が凍えるという意味だけでなく、
 音として「闘」とつながるということの発見があったかもしれない。
 彼らは、間違いなく、圧倒的な「凍」の世界で、全力を尽くして「闘」することを続けたのだ。

もちろん、登山の『登』も「とう」の音だ。
そういえば、今年感銘を受けた本は、どれも『とう』がついているなぁ。
 『半島を出よ』の「島」、『東京奇譚』の「東」、そして『凍』

 山の話だと、『岳』という石塚真一さんの山岳救助のマンガも好きです。お薦めです。
 山野井さんについては、http://climbing.x0.com/yamanoi-report05.htm お薦めです。

それでは、良いお年を。

凍


はやぶさに感動 [宇宙]

小惑星イトカワに着陸/離脱した「はやぶさ」について、
松浦晋也さんのブログL/D(http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/
をいつも楽しみに読んでいます。

昨日紹介してあった、以下の「はやぶさ」のフラッシュは、
心にしみる感動作です。未見の方はお薦めです。
はやぶさ、帰ってこい…
http://yu-net.info/swfup/viewswf.php/1749.swf

また、松浦さんのブログによると、
はやぶさのプロジェクトマネージャーである川口教授は、
12/14の記者会見で、はやぶさの意味について、次の様に語っている。

 塔を建ててそこへのぼってみれば新たな地平が見えるものだ。
 そのような塔を自ら建てるという意識を鼓舞したという点では、
 はやぶさには意味があると考えている。

何だか、先週書いたクラウスの話とだぶって、とっても嬉しいです。
昔まだ「はやぶさ」が計画段階のころ、1回だけ、
川口教授にお会いしたことがあります。
頭の良い方だなぁと思いましたが、記者会見等のやりとりも素晴らしいです。
「いや、私としてはまだ『負け』と思っていますよ。
何しろ今も、はやぶさは未完のミッションですから」
という言葉は名言だと思います。

そして、僕らは2010年の
はやぶさの帰りを待っています。


塔の上のクラウス [小話]

むかしむかし、あるところに美しい街がありました。
街には、おもちゃ箱の中の様に色とりどりの素敵な建物が並んでいました。
この街には、寒い冬でも、多くの観光客が訪れていました。

クラウスは、この街に住む御者でした。
いつも、観光客を馬車にのせて、街を案内していました。
クラウスは、街の美味しいパン屋に総菜屋や定食屋、
素敵な玩具屋に宝飾店、腕が確かな仕立屋に靴屋、
それに居心地の良い宿屋や居酒屋を、隅々まで良く知っているのでした。

その日クラウスがお客を降ろした時、馬車は街はずれの塔のたもとまで来ていました。
クラウスは、いつもの様に、塔を見上げました。
すると、驚いたことに、高い塔を「赤い服を着た男たち」が登っているのです。

まさか、と思ったクラウスが目をこすって、もう一度見上げると、
今度は誰も登ってなんかいません。
狐につままれたように、クラウスは、じっと、目をこらして、塔を見つめました。
確かに塔には誰も登っていません。
だけど、良く見ると、一本のロープが塔からぶら下がっているではありませんか。
クラウスは、「赤い服を着た男たち」の正体をつきとめてやると決心しました。
そして、ロープのはしを体に巻きつけると、
ぎゅっとロープをにぎり、塔の壁を登りはじめました。
どれぐらいの時間がたったでしょうか。手がじんじんとしびれ、フウフウと言いながら、
クラウスは、塔のてっぺんの三角屋根の上にたどり着きました。
塔のてっぺんには金色の天使の像が飾られていました。
しかし、「赤い服を着た男たち」の姿はどこにもありません。

ふうーと大きなため息をついて、クラウスは塔の上にこしをおろしました。
クラウスは、今までにこんな高い所まで来たことはありません。
下を見おろすと、彼の馬車が小さく、彼の馬が豆粒のように小さく見えました。
そして、彼がいつも馬車を走らせている道が見えました。
彼が毎日お客を運ぶ、パン屋や靴屋や宿屋が、どれもこんなに小さかったのだと思う程、
とても小さく見えました。街を囲む壁の外もよく見えます。
畑に、丘に、森に、そしてその遠く向こうの北の果てに、雪をかぶった山々が見えました。

クラウスの顔に、ぴゅーと冷たい風があたりました。そして、チリーンと音がしました。
足もとを見ると、屋根の上に鈴がひとつ転がっていました。
クラウスは鈴を拾いあげました。軽く振ってみると、チリンチリンと、心地良い音がします。
クラウスは、にっこりと笑うと、鈴をポケットにしまいました。
そして、塔を降りようと思いました。

ロープにぶら下がり降りていくクラウスの姿は、夕陽に照らされて赤く輝いていました。
そして、塔の下では、彼の馬車を引く馬「ルドルフ」が、鼻を赤くして、
クラウスの帰りを待っていました。
(おしまい)


日出る国の訓練船 [風景]

たまたま、港に遊びにいったら、訓練船の見学会をやっていたので、
訓練船『青雲丸』を見学することができた。
今日はそのことを書こうと思う。
船については、まったくの素人なので、間違えていることもあると思いますが、
まぁ寛大に読んでやって下さい。

訓練船とは、もらったパンフによると、航海訓練所(商船専門学校とか海上技術学校)が
船員を養成するために使う船のことを呼ぶそうである。

見学することができた『青雲丸』は、総トン数5888トン。
調べてみると、江戸末期、勝海舟がアメリカに向かった咸臨丸は625トン、
タイタニックは、約46000トン、戦艦大和は約69000トンである。
だから、咸臨丸の約10倍、
タイタニックと戦艦大和を足して20で割ったぐらいの大きさの船である。
乗組員は、72名、実習生は180名。
(総トン数とは何か?が気になった方は、以下が楽しく解説しています。
http://www.umifunehaku-net.jp/mamejiten/fune/fune_16.html )

これぐらいの大きさの船であっても、乗り馴れない私なんかが、
タラップを上がって中に入ると、迷路の様であった。
要所要所に、制服姿の初々しい訓練生(男子、女子)が、凛々しく立っていて、
「おはようございます!」と、
背筋がぴんとなるような、それでいて爽やかな挨拶をくれた。

航海計器が満載の船橋(操縦室)を見た後、横の部屋に入ると、手ごろな平机があり、
海図がいっぱい立っていた。机に海図が広げられている情景、
昔の映画なんかだと、コンパスをくるくるまわしながら歩かせたりしている情景、
を思い浮かべてワクワクした。

機関室も見せてもらえた。10500馬力のディーゼル
機関室は、船を動かす船の心臓部。
エンジンは、巨大でダイナミックである。
ここで働くのもロマンだなぁと思ってしまう。
佐渡酒蔵(ヤマトの機関士)や、千と千尋の釜爺の勇姿を思い出す。

講議を受けるための大きな教室や、ちょっとした運動場もあり、
ここは海の上の学校なんだなぁと思う。
そして、素敵な食堂や実習生の居室もあり、ホグワーツの様な全寮制の学校として、
若者たちが、ここで色々なことを学んでいるのだなぁと思った。

いうまでもないことなんだけど、
日本は海に囲まれており、大平洋の向こうにはアメリカがあって、
日本海の向こうには韓国中国がある。
そして、さらに遠くの国々とも海を通じて繋がっている。
石油や食料などが船で運ばれてきて、車や電化製品などが船で運ばれていく。
それを運ぶ船は、船員さんにより運行されている。
普段は意識しないけど、僕らの生活は、こうして成り立っている。
そう思うと、この訓練船が大きく、実習生たちがたくましく感じられた。

訓練船『青雲丸』の詳細は以下にあります。
http://www.kohkun.go.jp/seiunmaru/


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