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2010年10月の『2001年宇宙の旅』 [映画]

2010年10月に、
午前十時の映画祭( http://asa10.eiga.com/ )で、
『2001年宇宙の旅』のリバイバル上映を、
子供の時に見て以来、
数年ぶりに映画館で見ることができた。

本当に久しぶりに、大きなスクリーンで
『2001年宇宙の旅』を
楽しむことができて、大満足でした。

監督のスタンリー・キューブリックも、
原作アーサー・C・クラークも既に
亡くなっているが、
ニュースで知ったのだけれど、
この10月には、この映画を製作した、
ライオンが吠えるトレードマークでおなじみの
MGMも破産しました。

既に2001年から10年が経過しようとし、
当然なことではあるけれど、
社会や技術は、映画の中で考えらていた未来や、
子供の時に思い描いていた未来と、
ちがう形で具現化していく。

2001年という年号は、僕らの中で、
どんどん過去に遠ざかっていく。
だけれど、『2001年宇宙の旅』という作品は、
光にてらされたモノリスの様に今も輝いている。

なお、午前十時の映画祭は、
懐かしい名作を上映してくれるので嬉しいです。
今週は、『アラビアのロレンス』を、
都合がつけば見に行くつもりです。
上映時間が長いから覚悟しないと。
来年は、『ミツバチのささやき』もやるようです。

かいじゅうたちのいるところ [映画]

もう、ずいぶん前から、話題になっていることだけれど、
モーリス・センダックの、ワイルドで楽しい絵本
『かいじゅうたちのいるところ』(Where the Wild Things Are)
が映画化され、10月にアメリカで公開される。
監督は、スパイク・ジョーンズ。
予告編が、とにかくすばらしい!(枠からはみ出しますが、大きい画面で紹介します。)



詳しくは、
http://wherethewildthingsare.warnerbros.com/

この予告編を見ると、絵本を読んだ時と同じように、
かいじゅうになって、
かいじゅうたちと一緒に、ほえたくなります。

個人的には、絵本では、
主人公のマックスがいたずらをする時に着る、
おおかみのぬいぐるみ(wolf suit)とか、
月の変化なんかにも興味をそそられました。
この予告編では、先生が、月が太陽と地球の間に入ることで
日食となることを黒板で説明していたり、
居間で母親がキスしている所を、ものかげから
wolf suitを着たマックス君がこっそり見ていたりしている。
映画では、こうした日常の生活が、絵本の世界を膨らませるかたちで
上手く描かれているようで興味深いです。

さて、4月のイースターの祭りで、
ホワイトハウスで開かれたイベント
(イースター・エッグ・ロールというらしい)で、
オバマ大統領が、子供たちに、『かいじゅうたちのいるところ』
を読み聞かせている。



この中で、とくに楽しいのは、
and made him king of all wild thing
"And now,"cried Max, "let the wild rumpus start!"
マックスを かいじゅう たちの おうさまに した。
「では みなのもの!」マックスは おおごえをはりあげた。
「かいじゅうおどりをはじめよう!」

この後に続く、
オバマ大統領のかいじゅうおどりが楽しめるのは、3分35秒過ぎです。

これに対して、
so he gave up being king of where the wild things are
マックスは かいじゅうたちの おうさまを やめることにした。

からのオバマ大統領の朗読は、前半と比べて、
寂しい感じがするのは、気のせいなんだろうな、多分。

そういえば、ティム・バートンの
アリス・イン・ワンダーランドの予告編も公開されている。
http://www.facebook.com/video/video.php?v=1082113067445&ref=mf
写真で見ていた時は、ディーテルが素晴らしく、
映画の仕上がりに期待していたが、
こちらの予告編は、ちょっと虚ろな感じがしていやな予感がする。
この予感、外れると良いのだが。

WALL・Eの効用 [映画]

2008_1210ウォーリー0054-2.jpg
先日、ピクサーのアニメーション映画『WALL・E(ウォーリ-)』を観ました。
ちょっと可笑しいなぁと思う点もあるのですが、
SFスピリッツと愛情が溢れた素晴らしい作品でした。

とにかく掃除ロボット WALL・Eのしぐさが愛らしい!
稼動部が少ないのに、本当に豊かな感情表現を行います。
また随所にクスッと笑わすユーモアのシーンが多く、
特に『2001年宇宙の旅』のパロディなんかは、
可笑しくってたまりませんでした。
また、随所に宮崎アニメへのリスペクトも強く感じました。

WALL・Eの姿を初めて見たとき、
映画『ショート・サーキット』(1986)に出てくるロボットや、
E.T.に似ているなぁと思いましたが、
映画を見ていたら、とりわけR2-D2に似ていると思いました。
音声をR2-D2と同じ、ベン・バートが担当しているからかも知れません。
ベン・バートの作り出す、とても生き生きとした音の世界は、
以下で楽しめます。
http://eiga.com/movie/53346/special/4#5
(同じ頁の他の動画を見ると、エイリアンのシガニー・ウィーバーも
意外な所で声優を演じているところが見えます。)

WALL・Eは未来の掃除ロボットですが、世間では、
既に掃除ロボット ルンバというのが売られているそうです。
http://www.irobot-jp.com/
これも、もっと進化して、より便利になったら、
各家庭に普及する日が来るかも知れませんね。

さて、WALL・Eを見たあと、何故か掃除がしたくなって、
季節がらもあり、家の大掃除をしました。
久しぶりに床にもワックスもかけました。
(家ではドイツのAURO社の自然素材のワックスを使っています)

床板がすべすべになって、生き返ったようで気持ちが良いです。
掃除もなかなか楽しいものです。
(僕はたまにしか掃除しないからかも知れないけど。。)

写真は、駅で配っていた映画のキャンペーン用の
ペーパー・クラフトを組み立てたものです。

The Reader [映画]

ベルンハルト・シュリンクのベストセラー『朗読者(The Reader)』
が映画化されて、12/10から、全米で公開されるそうです。
(日本語タイトルは、『愛をよむひと』で2009/4/25公開予定)

監督は、アンソニー・ミンゲラーに替わり、
スティーブン・デーヴィッド・ダルドリー。
あの魅力的なハンナの役は、ケイト・ウィンスレット。
個人的には、ニコール・キッドマンより、適していて良かったと思う。

TIME誌のHoliday Movie Previewを読んでいたら、
ダルドリー監督は、セクシュアルな面と倫理面を掘り下げていて、
力強くて、鋭くて、心を打ち、火傷をするように熱い、
誠実さを描いているそうです。(誤読していなければ、多分。。)

『The Reader』の予告編は、以下で見ることができます。
http://www.apple.com/trailers/weinstein/thereader/
市電の車掌をするハンナの姿が見えます。
裁判のシーンも迫力があります。
裁判員制度も始まり、人を裁くことの難しさという点からも
見て見たいと思います。

なおケイト・ウィンスレットといえば、レオナルド・ディカプリオと
競演する「Revolutionary Road」の予告編を、以下で見ることができます。
まるでアメリカ大陸に渡ったローズとジャックの家庭を見るよう?
監督は、ケイト・ウィンスレットの夫のサム・メンデス。うーん、複雑。
http://movies.yahoo.com/premieres/9951304/

インディの帰還 [映画]

子供の頃、『レイダース』を映画館で見て、
映画ってこんなに面白いんだって、目を丸くした。
トラックの追跡のシーケンスや、
潜水艦の上から手を振るインディの姿の面白かったこと。
そんな状況は、リアルに考えればありえないのだけど、
映画の中の世界では、それは、手にとるようにリアルなのだった。

そして、貨物船の中でのキスシーンといった、
インディとマリオンの、ブコツで、ちょっと粋なロマンスに
子供心に、胸をときめかしたりした。
映画の最後で、ふたりは、腕を組んで、階段を下りていく。
これから、ふたりは、どこに飲みに行ったのだろう?
そして、この先、ふたりは、どうなるのだろう?と、
勝手に思いを巡らせたりした。

2作目のヒロインは、歌手ウィリー(ケイト・キャプショー)で、
えぇ!マリオンでは、ないの? と思った。
時代的に1作目より前という設定なので、
マリオンというのは有り得ないという訳で、
しょうがないなぁと納得せざるを得なかった。
2作目のケイト・キャプショーは、どたばたしていて、
当時は、見ていて、やり過ぎだよなぁと思っていたけれど、
先日、テレビでやっているのを見直したら、
結構、がんばってやっているなぁと好感が持てた。
その後、ケイト・キャプショーは、スピールバーグと結婚。
きっと、その明るさで、
夫のスピールバーグを支えていることだろう。

3作目は、1938年という設定なので、こんどこそ
マリオンは?と思ったが、
親子で、新しいヒロインの美女エルザにのぼせたりしていた。。
毎回、違う女性とのロマンスがあるという、007と同じ展開なのねと、
マリオンとのロマンスの続きはもう諦めるしか無かった。
この3作目は、インディは、父と子の絆を確認して、
ある意味、完璧な完結の仕方をした。
だから、もう、この映画の続編は無いものだと思っていた。

それが、3作目から19年たって、インディの帰還である。
これが、見ないでいられるだろうか?

長い前振りでしたが、そういうわけで、今朝、
『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』を見てきました。
同窓会に行ってきたような、そんな、ぼーとした気分です。
ネタばれになるので、内容は書かないけど、
マリオンが出てきて、本当に嬉しかった!

ユーモアがあって、温かくて家族的で、
50'Sや、ちょっとしつこいアクションシーンや、
変な場面も、どれも、スピールバーグとジョージルーカスの
映画で、お馴染みであった。
とっても居心地が良く、映画って楽しいなぁと、
また子供心に戻って、楽しんできた。

この映画は、アカデミックではない。
(本当はアカデミックだなぁと時々思っているけど。)
そして、つっこみ所が満載のちょっとおバカな映画である。
だけど、この映画には、温かい心がある。
インディ、おかえり。

P.S.
ロシアでは、この映画はソ連を侮辱していると批判されているとか、
原住民の描き方が酷いとか、
核に対して無神経だとかいう、前評判を聞いていたけれど、
僕が見た限りでは、製作側にそういう意図は感じられなかった。
(というか、そういう誤解を受けないように、誠意を込めて
作っているようだった。今までに彼らが製作した映画を見ていれば、
言うまでも無いことなのだけれど。)

クリスタル・スカルの王国の予告編1について [映画]

『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』
の予告編が公開されました。
レイダース・マーチを聴くと期待に胸が高まります。
僕の大好きな1作目をなぞらえた所が、随所に見えて楽しいです。
インディも老けましたが、がんばってアクションをしています。
なんで、この映画は、こんなに楽しいのだろう?

予告編は以下でも見ることができます。
http://www.indianajones.com/site/index.html

以下でも見ることができます。
http://www.indyjones.jp/index.php?no=r116

冒険は続きます。


風を感じて [映画]


スクリーンの中で流れる風を感じる。
海と空の美しさと、それを感じることが出来る人間の素晴らしさを見る。
館内が明るくなる迄、流れる音楽に心と体をゆだねる。

映画を観た後で、自分の中の何かが変った感じがする。
僕も、彼女と手をつないで人生を生きていけたら、と思う。

そして、本屋で一冊の本を買った。
映画『Life 天国で君に逢えたら』の主人公、
飯島夏樹さんの著書『ガンに生かされて』
これから読みます。

ガンに生かされて (新潮文庫 い 82-2)

ガンに生かされて (新潮文庫 い 82-2)

  • 作者: 飯島 夏樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/07
  • メディア: 文庫


よしんば呆れられたとしても、『大日本人』についてもう少し書かせて [映画]

押井守の最新作は森博嗣原作の『スカイ・クロラ』で
宮崎駿監督による『崖の上のポニョ』と同じ、2008年に公開らしい。
http://wwws.warnerbros.co.jp/skycrawlers/
(この中のレポートは読み応えがあります。)
2008年が待ち遠しくなった。

さて、ヒーロー映画のコアなファンは、
映画を見に行く時に、ヒーローの格好に仮装して出かけるものだ。
スターウォーズとか、スパイダーマンとか、パイレーツ・オブ・カリビアンとかの公開初日は、
テレビでそういった姿が良く紹介される。

話は、前回の記事に戻るが、『大日本人』の上映で、大日本人の格好に仮装して映画を見に行ったコアなファンは、いたのだろうか?
髪の毛を逆立て、紫色のブリーフをはいて、棒をもって、映画を見に行ったら、間違いなく笑いがとれただろう。
(大日本人の姿は、http://www.dainipponjin.com/ をいろいろ調べると少しだけ観ることができます。予告編の最後とか。)

大日本人は細部にまで、こだわりが感じられる。
電気を流して巨大化するのが、6代目という設定はリアルだ。
4代目が、昭和天皇と同じぐらいの世代だとしたら、
初代が明治天皇と同じ世代になる。
エジソンやニコラ・テスラが電気を実用化したのは、この初代と同じ1880年頃からなので、
6代目というのは、だいたい計算があう。
なお、エジソンは、リュミエール兄弟と並んで映画の父とも言われている。
松本人志は、映画監督として、6世代目のバトンを受け継ぐ覚悟をしたのだろか。

『大日本人』の僕的な唯一の疑問は、
巨大になった体で、宴会場の部屋いっぱいになって、丸くなっている姿があるが、
どうやって、部屋に入ったのか謎だということぐらいだ。

電気を流して巨大化するため、髪の毛がちぢれて、逆立つという造形がリアルだ。
(もっとも、秋山仁のような長髪は途中で短くなるが、巨大化した時の髪の長さが変らないのは愛嬌か)
そういえば、一世代前に流行ったサザンの『Bye Bye My Love (U are the one)』
のジャケットの絵もこんな髪型だった。

この歌は、「当時話題となったUSA for Africaのメッセージ“We are the world”(注)に対する返歌として、製作された楽曲である。」という。
この映画のテーマとも、不思議と響きあう。

さて、『大日本人』のあの衝撃的な転調を観て、
押井守監督の映画『アヴァロン』の最後を思い出したのは僕だけだろうか?
5代目の世代も、負けていない。

(注)マイケル・ジャクソン 、ボブ・ディラン 、ブルース・スプリングスティーン、
   シンディ・ローパー など豪華メンバーが参加していたっけ。


日本に生まれて ~ブルース・スプリングスティーンと松本人志~ [映画]

映画『大日本人』を見てから2週間経つ。ずいぶんと後を引いている。
この作品は、とても丁寧に作られており、
オリジナリティー溢れる楽しい映画であった。(注1)
サルコジ大統領は楽しめないと思うけど、
皇太子殿下夫妻は楽しめる内容であろう。(注2)

議論になっている、あの終わり方は、
見ている時は、正直「あぁ、やっちゃった!」と思って、
とまどってしまいましたが、今になって思うと
素晴らしい終わり方だった、のかも知れない。

もう一度見直して見ないと分からないのだけど、
映画のクライマックスで、中村雅俊の「ふれあい」(注3)が流れる。
この時、電流を大量に流されて、主人公は、死んだのだと思った。
あの笑劇的な転調の際にも主人公は死んだのだと思った。
その文脈でいくと、エンディングは、天国的な終わり方だったのかも知れない。

自虐的ともいえる哀しみを、ポップでロマンティクに歌い上げるという意味で、
ブルース・スプリングスティーンのBorn in the U.S.Aや
ハングリー・ハートと、『大日本人』は通じる所があるかもしれない。
それも救いの一つのあり方であろうが、危うさも感じる。

最近、ブルース・スプリングスティーンのアルバム『ザ・ライジング』を聴いている。
往年のスプリングスティーン節に、クラプトン風、C.C.R.風、S&G風、U2風そして、
ボブ・ディラン、ウディ・ガスリー風のバラエティにとんだ楽曲が楽しく、歌詞も含めて
とても聴き応えのあるアルバムである。(注4)
内省的なテーマが突き詰められて、真に社会的なテーマに到達している。

このアルバムの中で現時点で気になる曲は、
「イントゥ・ザ・ファイアー」(炎の中へ)である。
崩壊しようとするビルの炎の中を、救助の為に、階段を上がっていく消防士のことを
歌った歌である。
ジェフリー・アーチャーの『ゴッホは欺く』という本でも、このニューヨークの
消防士の話は心に残る。(注5)

松本人志の『大日本人』が、この消防士に消化された時、
真の傑作となるのだと思う。その時、笑いは救済となる。

(注1)そのドキュメンタリー風の作風は、
『カメレオンマン』などのウディアレンのコメディや、
『ゆきゆきて神軍』という毒に溢れた映画と、ちょっと似ている。
『害獣対策に自衛隊活用』というニュースが、映画公開の週に新聞の一面に
掲載されたのも、興味深かった。

(注2)皇太子殿下は子供の時、
書店で最初に買われた本が大伴昌司の『怪獣図鑑』である。
大伴昌司については、
http://www.nifty.com/ohtomo/who.htm

(注3)中村雅俊の「ふれあい」は、以下に視聴できる。
http://www.barks.jp/listen/?id=52009997
http://bestcd2.blog97.fc2.com/blog-entry-173.html

(注4)『ザ・ライジング』については、以下のサイトの解説が興味深い。
http://www.st.rim.or.jp/~success/raijing_ye.html
http://www.1101.com/suzukichi/2003-08-11.html

(注5)北野武がピカソを目指すのなら、松本人志が目指しているのは、
ゴッホであると思う。


ゲドとの戦い [映画]

『ゲド戦記』、初日の1回目に観てから、
1週間、この映画について考え続けている。

僕は、アニメや映画製作現場については全くの無知であるので、
偉そうなことは書けないのではあるが、あえて言ってしまうと、
無粋な映画である。
派手な映画を観ようとすると間違いなく肩透かしを食らう。

しかし、確かに、宮崎駿や高畑勲の精神を
受け継いでいこうとする骨太で意欲的な映画だったと思う。

映画が始まって、まず思ったことは、
絵柄と動きへの違和感だ。

絵柄は『太陽の王子ホルスの大冒険』みたいな、
昔のアニメ映画を見ている感覚とでもいおうか。

そんなわけで、最初は距離感を持って見てしまっていたが、
途中からは適応したのか、不思議と慣れて気にならなくなった。

逆に、気持ち良いといったら言い過ぎかもしれないが、
シンプルな絵で、アニメーション本来の魅力を取り戻したい
という新古典主義の主張は良く分かった気がした。

1週間経つが、記憶の中での映像の劣化は少ない。
いろんなことを総合して考えると、
こうした絵柄にしたのは賢明な判断だったと思う。

北欧をモデルとしたという意味でも、刺激的な画ではなくて、
敬虔なる画で良いのだ。

ただし、画にムラがある。
ハッと息の飲む様ないい感じの画、
例えば月夜のシーン
http://www.ghibli.jp/ged_02/20director/000244.html
があるかと思えば、
疑問を感じる画や動きもある。(どちらかといえばが、後者が多い。)

画や動画の駄目出しが不十分だったのではないだうか?
(画が駄目というのは、作品全体のトーンの中でという意味で、
そのシーン単体で問題があるという意味だけではない。)

スタッフが苦労して書いた画でも、駄目なものは駄目といえる
強さが欲しい。

昔、観たドキュメンタリーでは、宮崎駿は、
『もののけ姫』でアシタカがヤックルに乗り損ねるシーンや、
『千と千尋の神隠し』の両親がばくばく食べるシーンに対して
スタッフの書いた動画を、駄目出しし続けていた記憶がある。
こうした姿勢により、一定の質が確保されていたのだと思うが、
初監督の吾朗氏にはこうしたことが難しかったのではないかと推測する。

動画を自分で書く技術が無いのであれば、
自分の意向をスタップにきちんと伝え、
自分の描きたい絵を限界までスタッフの力を出させて書かせる。
外注に出したものも含め、画を徹底的にチェックする。
それが、監督の仕事なんだろうと思う。

そしてその為の一つとしては、
吾朗監督は鈴木プロデューサーと資金やスケジュールの点で、
果てしないバトルを繰り広げないといけない。
プロデューサーと監督は仲が良かったり、
監督がプロデューサーの意向を伺っていては、
良い作品は生まない。
予算超過と撮影の遅延で総合監督ジョージルーカスを怒らせた、
スターウォーズ『帝国の逆襲』が名作で、飼いならされた
『ジェダイの復讐(あるいは帰還)』があと一歩なのと同じことなのだ。

象徴的に言えば、海!
アースシーの世界には、海と船旅が必要なのだ、とする。

それに対して、
鈴木プロが海は表現が難しいという。
しかし、そう言われたとしても、海を描くべきなのだ。
(冒頭の海のシーンや、ゲドが"はてみ丸"に乗って出てきたのが嬉しく、
海のシーンがもっと見たいと思ったので。)

主人公アレンの父王殺しが、駿を乗り越えてやるという意味ならば、
終盤、クモに操られたアレンがゲドと戦おうするシーンは、
永遠となるべき作品の為に、
ゲド(鈴木プロ)と死闘を尽くすこととなることを、
暗示しているのかも知れない。
http://www.ghibli.jp/ged_02/20director/000215.html

父親も死んでいない。
次回作の準備に入っている。
http://www.ghibli.jp/ged_02/20director/000830.html#more

戦いは続く。

以下、蛇足。
『ゲド戦記』というタイトルで、
あるいは派手な戦争のシーンを期待していた人が
いるかも知れない。
それは、本を読んでいなければ止むを得ない。

『ゲド戦記』は『ガリア戦記』や『レイテ戦記』の様に、
戦争を描いたものでは無い。

私は、『ゲド戦記』の清水真砂子さんの訳は真摯でとても素晴らしいと思う。
また『ゲド戦記』というタイトルもカッコイイと思う。
しかしそうであっても、"A WIZARD OF EARTHSEA"を
『ゲド戦記』と訳していることに抵抗を感じている。

この映画は、"アースシーの物語"ぐらいのタイトルで良かったのではないか
("の"が2つあるので縁起も良い。
映画にも英語で"TALES FROM EARTHSEA"と書いてあったような記憶があったし。
でもこれ外伝のタイトルだよなぁ)


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